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こころの健康シリーズZ 21世紀のメンタルへルス

No.1 高齢者のグループリビングを推進するCOCO湘南の歩み

NPO法人COCO湘南 理事長  西條節子


グループリビングの全国普及

 現在、日本の高齢者人口は3186万人、つまり4人に1人が高齢者だ。国の推計では平成47年には33.4%、3人に1人が高齢者になるという。この現実を政府はどう受け止めているのだろうか。高齢者の孤独死や自殺も増えている。貧困など経済格差も深刻だ。経済優先の波に飲み込まれ、高齢者対策は悲劇的な状況になってきている。悠長な事を言ってはいられない。市民が知恵と力を出して対処していなかければならない。私たちのように、お金も土地もなにもない小さな集団が、地域の人々の力を借りて、参加型福祉という方向を示し、日本で最初のグループリビング施設をスタートさせた。この実績で、日本自転車振興会から建築費の補助金を受けることが可能になり、全国に14か所のグループリビングが完成した。現在は資金不足で補助金は中止になったが、グループリビングの必要性を感じた全国の心ある人々の苦労と努力で、41か所にグループリビングが広がり活動を始めている。

‘終わり’の前にも一寸…自己決定

高齢者の心を傷つける言葉、尊厳を無視し、邪魔者にする風潮。
@なんでも認知症でかたづけない。家族問題や不安感で言葉を失う時もある。自分自身を大切にする事は相手を大切にする事に通ずる。
A施設選びは早くから自分で。家族が施設を決める、人様が決める事からの解放=自立
B後見人制度の改善
C男性の老後の地域交流は難しい。定年後の準備として地域の活動に参加する。「おはよう」など、地域の人への声かけから始めよう。

終わりに

 ・何故グループリビングを立ち上げたのか。
・どのように17年間運営してきたのか。
・これからの展望、支援、行政に望むこと

 このようなグループリビングを中学校の学区単位でつくり、そこを地域の孤独な方々の拠り所の一つとしていく、それを実現する手段を考えていく大切な時を迎えていると感じる。NPO法人が参加型福祉を進め支援をしていくことで、市民を啓蒙し、活性化し、孤独死や、さらには自殺を防止することができ、安心して楽しく老後を暮らしていけると確信している。どのように進めていけば良いのかと尋ねられたら、私の体験や研究を喜んでお伝えし教えて行きたい。それが今後の参加型福祉の推進に役立てば幸いであり、私の一生の役目だと感じている。
 スウェーデン、デンマーク、イギリス、イタリア、ドイツなどのヨーロッパ諸国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどの国民が、地味でも、自立した心豊かな生活を営んでいるのは、国が生涯の安心を担保しているからである。
 最後に『ゆりかごから墓場まで。自立した国民生活を保障しよう。』というイギリスのチャーチル元首相の言葉で締めくくろう。イギリスのグループホームは、兵役を終わった一兵士がつくり始めたのをきっかけに全国の500以上に広がっていった。私たちもこの歴史を学んでいこう。日本人の優しい国民性は、日本版の参加型福祉を作り出していける。お金が無くても、土地が無くても、皆で知恵を出し、助け合い、協力していけば必ず明るい未来が開けると信じている。

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1.‘はじめに’の前に一寸…街の中で暮らす場/はじめに/NPO法人COCO湘南のスタート(研究会の立ち上げ3年)
2.既成の箱物はいや!土台をしっかりと!研究会の歩み/安心ネットワーク(医療・看護・介護)
3.COCO湘南が産み出した共生の基本理念
4.グループリビングの全国普及/‘終わり’の前にも一寸…自己決定/終わりに

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