東海大学教授 山崎晃資
身体的にはなにも問題がなく、知能的にも十分な能力を持っているにもかかわらず、な んらかの情緒的な問題によって登校できない、または登校しようとしない子ども達が増え
ています。
このような子ども達は、これまでは「学校恐怖症」、「登校拒否」、「学校嫌い」 などと呼ばれておりましたが、最近では「不登校」といわれることが多くなってきました。
不登校は、さまざまな情緒的な問題を持つ子ども達が、学校という場に対するある種の 反応としてあらわす行動の一つです。
多くの場合、子どもの悩みや葛藤、両親の養育態度 や対応の仕方、学校での問題などが複雑に絡み合って、「不登校」という状態が形作られるのです。
不登校または登校拒否は病名のように考えられがちですが、国際的な診断分類表には病名としては載っておりません。
不登校は、子 ども達があらわす多彩な症状の中の一つであり、その背景にはいろいろな原因がありまず。
しかし、社会的問題として大きく取り上げら れるようになりますと、理由のいかんにかかわらず学校に行くことを嫌がる子どもをなん でも不登校といってしまい、画一的に扱ってしまう傾向が多くなってきております。
子どもは、同じ年頃のお友達との集団活動や学校生活を経験しながら発達していくものです。
子どもが、自らの発達の場であるべきはずの学校から遠ざかってしまうことには、 重大な意味があるはずなのです。
不登校の子どもは、まず、朝の登校時刻になると、頭痛、腹痛、下痢、めまい、などの身 体症状を訴え、学校に行くのをしぶるようになります。
タ方になると少し元気になり、「明 日は学校へ行く」といって登校の準備を始めたり、タ方や休みの日は普通に外出したり、 外で遊んでいます。
学校を休み続けていますと、朝なかなか起きずに昼近くまで寝ていて、 日中は家の中で好きなことをして過ごすようになります。
家族が学校の話をしたり、無理に登校させようとすると激しく怒りだし反抗 的になり、特に母親に対する乱暴がみられるようになり、無理難題をいい始めます。
時には、激しい乱暴のために、家庭生活が維持できなくなることもあります。(家庭内暴力)
不登校が長引きますと、昼夜が逆転した生活となり、外出しようとせず、家族からも孤立してしまいます。