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こころの健康シリーズ[ 国際化の進展とメンタルヘルス

No.10 大学生の留学時のメンタルヘルス ―日本から海外へ―

東京女子医科大学保健管理センター学生健康管理室 横田仁子


3.帰国後の精神成長とアイデンティティーの再確認

 留学を無事終えて帰ってきた学生の報告を聞くのは非常に楽しく、学生のこころの健康もより健康的になっているのを見るのが楽しみである。報告会での自信に満ちた発表を聞くと成長したなと感じる。交換留学は専攻している領域の学術的体験のみならず、異文化経験による個人的および国家的アイデンティティーを再確認させ、自己実現へのステップアップとなっている。

ケース5:留学を通して自身のアイデンティティーを考えた学生

 日本生まれ日本育ちの外国籍のバイリンガルの学生である。母国への留学を行った。報告会で留学を通して自分で感じた「自分はなにであるのか?」との問いが生まれたことを語った。そして、自分のルーツである国に留学して、深く考えるようになっていった。そのことを報告会で語ったことは、学生にとって大きな収穫となったのではないだろうか。

まとめ

 日本の女子医科大学における海外留学時の相談内容から、留学時のメンタルヘルスを検討した。メンタルヘルスを保持するためには、留学前から多くのストレスがあるので、それに対する支援が必要である。留学判定基準になる、学業成績、語学力だけでなく、個人の特性、社会性を見極めて、ストレス過多状態にならないように対処していく必要がある。準備が順調にいけば、留学期間は比較的短いので、カルチャーショックも軽く、帰国後の精神成長を認めることが多かった。

 

はじめに/1.留学の決定から準備段階
2.留学先によるメンタルヘルスの差異
3.帰国後の精神成長とアイデンティティーの再確認/まとめ

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