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こころの健康シリーズ[ 国際化の進展とメンタルヘルス

No.8 「生活者」としての在日外国人のこころの健康とその支援

長崎県立大学看護栄養学部 李 節子


はじめに

 私はこれまで、1980年代より約40年間、在日外国人の健康に関する研究を行ってまいりました。当時はまだ、「在日外国人の健康」を研究テーマにすること自体が日本では「市民権」を得ておらず、「異端者」であったように思えます。 いま、やっと、保健医療福祉関係者が「医療人」として、日本における外国人の健康支援を行うことは「当然のこと」になってきたように感じます。嬉しい限りです。これまで数多くの研究と政策提言、法改正等の一助に関わった者として、在日外国人の健康問題を俯瞰的に振り返り、概説させていただきたいと思います。

1.移住者の健康リスクについて

 2016年、新たに「移住トランジション複雑化リスク状態」(Risk for complicated immigration transition)という「看護診断名」(世界的に採択されている看護の診断名で、対象者の健康状態・健康リスクをあらわした概念)が採択されました。「移民としてトランジションにおける、不満足な結果や文化的障壁に対して、否定的な感情(孤独感、恐怖、不安)を経験しやすく、健康を損なうおそれのある状態」と定義されています。危険因子(Risk factors)としては、就ける仕事が学歴以下、ホスト国での文化的障壁、不衛生な住宅、ホスト国での資源(リソース)の利用方法についての知識不足、ホスト国でのソーシャルサポートの不足、ホスト国での言葉の壁、血縁関係のない複数人と同居する世帯、人が多すぎる住居、あからさまな差別、ホスト国での文化化に関する親子の葛藤、脅迫的な家主、が挙げられています。ハイリスク群(At risk population)としては、強制移住、 不十分な訓練で危険な労働条件下で働く、ホスト国での不法移民状態、労働搾取、不安定な経済状況、母国にいる家族との別離、母国にいる友人との別離、移住への期待が満たされていない、とあります(NANDA-1看護診断 定義と分類2018-2020)1)。 まさしく、これらの内容はすべて、日本で暮らす外国人の方々に、そのままあてはまっています。

 

2.「在日外国人」とは

はじめに/1.移住者の健康リスクについて
2.「在日外国人」とは
3.在日外国人の健康課題/おわりに

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