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こころの健康シリーズVI 格差社会とメンタルヘルス

10 介護職員のためのメンタルヘルス

NPO法人わかば代表
辻本きく夫

 

たかが介護されど介護〜専門性を自覚する〜

1 専門性を自覚することが力になる

 医療に関しては命を守ること、身体機能を維持向上させる知識と技術が専門性ですが、介護職の専門性とは何でしょうか。みなさんはこの問いに明確に答えられますか。私が考える介護の専門性は、利用者の生活を守る知識と技術です。生活を守ることの中に一部医療的な知識も入ってきますが、中心になるのは生活機能低下や判断力低下のある利用者が、本人らしい生活を維持するための支援技術こそが介護の専門性といえます。言葉を換えると社会福祉援助技術こそが介護の本質です。利用者の心身の状況を知るには、まず本人との間に信頼関係を築かなければなりません。多くの人が他人の助けを借りて生きることを望まない中で、利用者の声を傾聴し、実働する中で信頼関係が構築されます。通常は介護職よりかなりの先輩である高齢者から信頼されることだけでもたいへんな技術がいります。その上で、病気や衰えなどの身体上の問題や認知症も含めた心の問題にも迫らなければなりません。高齢者の日常生活、食事、清潔、身体機能を具体的に把握する中で変化を見逃さないのが介護職の役割です。変化があったときは責任者や医師などに連絡し、迅速に対応しなければなりません。比較において長時間利用者と接する機会の多い介護職こそ介護の要といえます。自らの専門性と社会的な意義を自覚することが、力となって介護職を支えるはずです。

2 介護職の課題を理解する

 介護職といっても保有する資格はさまざまです。たとえば介護福祉士は国家資格ですが、残念ながら介護福祉士資格は介護の専門職であることを意味しません。というのは介護の実践的技術と知識は利用者のケアをする中で身につけることができるからです。もちろん研修などで学ぶ知識も大切ですが、認知症や難病の人などへの対応は現場を経てはじめて専門知識として身につきます。専門職と認められる介護職になるには、利用者一人ひとりと真摯に向き合う中で、さまざまな病気と治療法、認知症や精神疾患、薬の作用と二次作用、食事と栄養、衛生保持、排泄介助、傾聴技術、連携の方法、制度の理解、社会資源に関する知識と技術を少しずつ身につけていくことが重要です。そのためには、研修や学習会などに積極的に参加し、また、インターネットなどを利用して学習することが必要です。自ら課題を自覚し、その解決に取り組むことにより、より楽しく仕事ができると思います。

 

3.前向きに仕事をするための心得/自己再生力を信じる〜疲れたときは徹底して休む〜

1.はじめに/介護職という仕事
2.たかが介護されど介護〜専門性を自覚する〜
3.前向きに仕事をするための心得/自己再生力を信じる〜疲れたときは徹底して休む〜
4.人生哲学をもつ〜仕事を含めて自分流の生き方を考える〜/仲間をつくる〜人から学ぶことは多い〜
5.原点を忘れない/おわりに

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