成長の過程におけるある種の葛藤ですので、子ども自身が自分の力で困難を乗り越える ことができるようにサポートし、待っていてやることが大切です。
なぜ子どもが学校に行きたがらないのか、これからの人生をどのように過ごそうとしているのかをじっくり語り 合うことが基本です。
学校に行かせることだけが目的ではないのです。
子どもが成長し、発達してきたこれまでの歴史を基盤にして不登校という症状があらわれているのですか ら、子どもが問題を克服するには相当な時間が必要なのです。
年単位で取り組むくらいの気構えが必要です。
学校に行くか行かないのかを決め、実行するのは子どもなのです。
親がいくら焦っても、強制しても、おだてても無意味なのです。
「本当は学校の勉強に向いていない」
と考える子どもならば、思い切って学校をやめさせてもいいのかもしれません。
学校での勉強の意味と必要性を考える時がきてから、学校に行くべきなのでしょう。
なにも考えず、悩まずに漫然と学校に行き、勉強さえしていればすべてが許されるという安易な生活をしている多 くの子ども達と比較すると、不登校の子ども達の方が、本当は健康なのかもしれません。
不登校があるのであれば、「登校症」というのもあるはずです。
人間として当然抱く成長のための苦しみと考えて、腹をくくって、子どもの気持ちを理 解しようと努力しておりますと、やがて子どもは生活リズムを取り戻し、自立への道を歩
き始めます。
ポンと肩を叩き、はずみをつけるように勇気づけ、学校へ行くことをすすめ ることが必要な時もあることを銘記しておいて下さい。
家庭内暴力の場合にも、乱暴することによって子どもがなにを訴えようとしているのかを考えることが大切です。
いたずらに暴力を恐れ、乱暴させないように子どものいいなりになっていてはならないのです。
人々と共に生きていくには、互いに守らねばならない最低のルールがあることをきちんと話し、 限度を超える行動には親であっても耐えられない ことを言葉に出して明確に示さなければなりません。
自分を犠牲にして、あまりにも子どものことだけを考えるのは逆効果です。
親も子どもも、それぞれの人生があることを思いだして下さい。
一時の感情的な対応や罪責感を持つことが、一番悪い結果となります。
不登校や家庭内暴力は、両親がその扱いに最も苦慮する問題です。
頭ではわかっていても実際に子どもと向かい合っているとつい“カー”となって感情的になるものです。
そういう時には、気軽に児童精神科医やカウンセラーに相談して下さい。
最近、学校以外の場で、子ども達が自主的に集まり、いろいろな経験を通して互いに成 長しようとする「フリー・スクール」や「自然学校」などのグループが、各地に増えています。
最寄りの保健所、教育研究所や教育相談室、青少年相談センター、児童相談所、 精神保健センターなどにご相談下さい。
いろいろな情報が得られます。