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認定NPO法人大阪犯罪被害者支援アドボカシーセンター専門支援員 犯罪被害者のメンタルヘルスに絡む新たな視点 犯罪に遭遇する者は、上記で述べたように、メンタルヘルス上の不調に加え、経済的側面、法的側面などでも問題が表面化することが多い。犯罪被害者になって始めて、その辛さがわかったとおっしゃる方が多い。多くの被害者が制度不備の中、人間不信に陥ってお もちろん、このような視点を犯罪被害者に見出すには、長い、長い年月が必要になるだろう。しかし、必ず、人は犯罪被害に遭っても適切なケアさえあれば、回復する。事件自体を忘れることは出来なくても、メンタルヘルスの不調が気にならない程度には回復する。 ただ、そのためには、適切なケア−“誰かとつながる”ことが必要になる。トラウマとなる被害を受けたとしても、誰かに話したり、大切な人々から信じてもらうことができたりサポートを受けることが出来た者は、自らのレジリエンスを最大限に発揮できるのである。中には、そこから何らかのグロース″を感じることが出来る可能性もあるのだ。 最後に実は、犯罪被害者件数として、平成20年の総数が181万件であったものが、平成24年には138万件と減少してきている。治安に関する意識調査(内閣府)でも、我が国の治安が良いとする者が一貫して上昇しており、32.9%もが治安がよいと認識するに至っている。一方で、児童虐待数は66807件(前年度59919件)、警察における暴力等の対応件数は43950件(前年度34329件)、ストーカー事案は19920件(前年度14618件)と増加の一途にある(数値はいずれもH24年度のものを示す)。殺人、傷害、レイプ等の他人への明らかな違法行為は減少しているにも関わらず、他人から見えづらい場所で起こる身内への児童虐待やDV等の行為は増え続けているのだ。これは何を表すのであろうか。家庭内で暴力が起こる要因として、虐待者の家事・育児能力不足等のパーソナルな問題の次に経済的困窮がその要因として挙げられている報告6)もあるが、確かに児童虐待やDV等が、貧困問題に全く関与していないといえば嘘になるだろう。人が社会で締め付けられたとき、そのはけ口は弱き者に向きがちであるからだ。不安定就労やワーキングプアといった生きづらさを持つ人々の割合が増える中、格差社会による歪(ひずみ)が、こんなところにも見え隠れしているように思えてならない。 文献 1.はじめに/犯罪被害者が陥る心身等の状況 |
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