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こころの健康シリーズVI 格差社会とメンタルヘルス

6 単身者の社会的孤立防止への課題

NPO法人 自立支援センターふるさとの会  
滝脇 憲


住まいの喪失の背景と居住支援ニーズ

 ふるさとの会を最初に利用した理由あるいは利用時に抱えていた問題は、住まいの喪失(住まいのない状態を含む)が約6割であった。「住まいを失った理由」の内訳をみると、「福祉施設や宿泊所等からの退去」が37.1%と最も多かった。「福祉施設」には、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム等の高齢者施設や障害者施設など、長期的な居住の場としての機能を備えた施設も含まれるが、緊急的な利用や、施設内でのトラブルがあった場合は退去となり、住まいのない状態になることがある。「宿泊所」の場合、ADLの低下や認知症の発症などによって介護ニーズが発生したために退去となり、住まいのない状態になることが考えられる。その他の理由では、割合の多い順に「失業と共に居所を喪失(社員寮・住み込み等)」17.1%、「アパート解体等による立ち退き」9.3%、「本人の病状悪化」7.1%であった。また、生活保護を受給している場合、入院が長期化するか、刑事施設に収容された場合はアパートを引き払う必要があるため、退院時(退所時)にあらためて住まいの確保が必要になる。これらのことから、生活困窮者・生活保護受給者は、預貯金を持っておらず、一時的に頼ることのできる家族や親族がいないために、通常であれば住まいの喪失にまで至らずに済むようなライフイベント(失業、ADLの低下、長期入院など)によって、住まいを喪失しやすい状況にあると考えられる。

3.社会的ネットワークの状況と生活支援ニーズ

1.はじめに/調査の概要調査の概要
2.住まいの喪失の背景と居住支援ニーズ
3.社会的ネットワークの状況と生活支援ニーズ
4.健康状態の特徴と保健・医療・福祉ニーズ
5.今後発展させるべき支援/おわりに

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