NPO法人 自立支援センターふるさとの会 健康状態の特徴と保健・医療・福祉ニーズ「ふるさとの会」では、高齢の利用者の割合が高いものの、幅広い年齢層の生活困窮者・生活保護受給者が利用している。このため、40歳未満、40歳以上65歳未満、65歳以上に分けて検討した。 40歳未満の利用者の健康状態をみると、精神的な健康度が他の年齢層に比べて低いという特徴があった。健康関連QOL尺度(SF-8)では、精神的サマリースコアが20歳代?40歳代で国民標準値を大きく下回っていた。また、疾病既往の内容では「何らかの精神疾患」に罹患した割合が最も高く51.6%であった。障害者手帳の所持の状況をみると、精神保健福祉手帳が35.5%と最も高く、次いで愛の手帳(療育手帳)が6.5%となっており、22.6%が精神障害者グループホーム・ケアホームを利用していた。就労状況をみると45.2%が就労しており、そのうち、「ふるさとの会」が就労先となっている利用者は50%であった。この調査での40歳未満の回答数は31名と少ないことから、若年の生活困窮者のごく一部の実態をとらえたに過ぎないが、地域の精神保健医療サービスと連携した支援が求められていると考えられた。 40歳以上65歳未満の利用者の健康状態では、それ以上の年齢層同様に「生活習慣病」に罹患している者の割合が約3割と高かった。また、「何らかの精神疾患」に罹患している者は約2割であった。健康関連QOL尺度(SF-8)の結果では、40歳代と50歳代の身体的サマリースコア及び精神的サマリースコアが共に国民標準値より大きく下回っていた。長期にわたって生活習慣病などの慢性疾患を抱えて生活する利用者が少なくないことから、医療機関との連携による健康管理や健康保持のための取り組みが重要であることが明らかとなった。 65歳以上の利用者の健康状態をみると、健康関連QOL尺度(SF-8)の結果では、身体的サマリースコアは国民標準値とほぼ同レベルであり、精神的サマリースコアは国民標準値をやや下回る結果となった。また、この調査では、65歳以上の対象者すべてに認知症ス クリーニング項目を加えているが、その結果においては、認知症が疑われる者の割合が実際に認知症の診断を受けている者よりも多い結果となった。このことは生活困窮者・生活保護受給者において、潜在的認知症患者が多い可能性があることを示唆するものであり、認知症以外の精神疾患に罹患している者も少なくないことから、本調査の結果に基づく詳細な二次調査の必要性を示すものと考えられた。
1.はじめに/調査の概要調査の概要 |
|||||||