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浴風会病院精神科診療部長 須貝 佑一 6.物忘れと精神症状アルツハイマー病にかぎらず、痴呆症の進行のしかたと症状の推移を見守っていると痴呆症のために周囲が心配し、困惑しているのは何かが見えてきます。介護家族や施設職員が疲弊するのは本人の物忘れや見当識障害といった知的な機能の障害でないことにすぐに気づかされます。
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬はたしかに1年ほどの間、わずかに記憶を改善したり、計算力を少し上げる効果は持っています。しかし、5品目を覚えさせたときに2品目しか思い出せなかったのが3品目思い出せるようになった、今が何日か答えられるようになった、自発性が出たという次元ではアルツハイマー病初期にみられる物盗られの妄想や病中期の「幻の実家」に帰ろうとする行動を直し、精神不穏を緩解に導くことはできません。筆者が使った症例ではかえって興奮して暴れるようになった人もいます。それよりもすでにノウハウの蓄積されている抗幻覚薬や安定剤をごく少量使う方が有効なことも多いのです。 1.家族の思い |
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