種智院大学教授 小澤 勲 5.高齢者の脆弱性臨床をしていていつも感じることですが、高齢者の心・身体・生活世界を隔てる壁はとても低いのです。彼らは、その心がゆらぐと容易に身体の不調を来します。逆に、身体の不調は直裁に心のゆらぎを結果します。あるいはまた、生活世界のちょっとしたゆらぎが彼らの心身の大きなゆらぎをもたらし、彼らのゆらぎは生活世界を大きく動揺させます。ですから、彼らとのかかわりは、心・身体・生活世界を等分に見据えたものでなければなりません。例えば、心のケアは身体への緻密な配慮なしには成立しません。逆に、心のこもった身体への援助は、心のケアの絶好の場になります。
また、介護にあたっておられる家族の心身がボロボロでも高齢者だけは元気という時期があるかも知れません。でも、それは決して長続きはしません。遅かれ早かれ、ツケは高齢者にも回ってくるのです。 1.高齢者は心のゆらぎを行動として表現する |
|||||||