中部学院大学大学院教授 吉川武彦 04年の新たな指針が目指すもの87年のものを踏まえて検討が行われてつくられた新たな指針は、(1)人事院が先陣を切って職員のメンタルヘルス向上のための役割を果たすことを明記した上で、各省各庁の長や管理監督者の果たすべき役割を明らかにしたほか、職員自身が自らのメンタルヘルス向上に果たすべき役割があることを明記した。さらにメンタルヘルスの向上に平時から務める必要があることから、(2)「健康なとき」「不健康なとき」「回復したとき」に3分し、それぞれにおけるメンタルヘルスの保持・増進に努めるべきであることを明示した。 その詳細は別に譲るが、こころの健康の保持増進を重点項目の第一に上げるだけではなく、こころの健康づくりに関する体系的な教育を実施するとともに職務遂行能力の回復を計画的に行うよう各省各庁の長に指示している。そのことからも明らかなように、疾病の早期発見・早期治療を目指すだけのものではないばかりか、人事院や各省各庁を挙げて職員のメンタルヘルス向上に取り組む姿勢を見せているところに特徴があるといえよう。 人事院は04年通知を示したあと4つの「心の健康づくり専門家会議」を設けた。研修にに関する専門家会議は「管理監督者用」「健康管理者用」「研修講師用」の3つのマニュアルを作成したほか、自殺防止専門家会議は「職員の自殺防止のために」、ストレスチェック・相談体制整備専門家会議は「心の健康に関する相談体制とストレス対策のあり方」を作成し、早期対応・職場復帰対策専門家会議は「心の健康のための早期対応と円滑な職場復帰」をまとめたが、これらはこの新たな指針の各論でもあるとともに実施に際して使えるマニュアルでもある。 はじめに |
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