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No.6 子どもの時間意識を育てる
-今を大切にする生き方-

中央大学文学部教授 都筑 学
イラスト さこんまどか


2.子どもの時間の使い方の自己評価

次に、子どもが時間の使い方をどのように自己評価しているかについて見てみよう。図2に示したのは、「あなたの日ごろの時間の使い方は、100点満点で、だいたい何点くらいだと思いますか」という質問に対する回答結果である。

平均点は、小学生68.5点、中学生58.2点、高校生54.1点だった。図2から明らかなように、小・中・高校生と学年が上がるにつれて、時間の使い方の自己評価が低下し、得点分布も低い方にずれていく。

平均値と得点分布にもとづいて、小・中・高校生のそれぞれにおいて、時間の使い方の自己評価を低群・中群・高群の3つに分類した。調査結果から、これらの3群の間には、次のような差異が見られることが明らかになった。

時間の使い方の自己評価の3群には、起床時間には大きな差はなかったが、自己評価が高い群ほど就寝時間が早く、睡眠時間が長い傾向にあった。この傾向は、小・中・高校生のいずれにおいても同じように認められた。

時間の使い方の自己評価が高い群ほど、「規則正しい生活をしている」「計画的に勉強をする」「約束の時間を守るほうだ」と回答する割合が多くなっていた。これとは逆に、時間の使い方の自己評価が低い群ほど、「疲れやすい」「やる気が起きない」「自分に自信が持てない」と回答する割合が多くなっていた。「忙しい」「将来の目標がはっきりしている」「自分は将来、幸せになれると思う」と思う割合は、時間の使い方の自己評価の高群が最も多く、中群・低群になるにつれて減少していた。時間の使い方の自己評価が高い群ほど、「これからの日本社会について」良くなると思う割合が多くなっていた。これらの傾向については、小・中・高校生の全てにおいて同じように認められた。

時間の使い方の自己評価が高い子どもは、上手に時間を使っている子どもであるといえる。そうした子どもは、早寝をして十分に睡眠時間を取っていた。規則正しい生活を送り、計画的に勉強したり、約束の時間を守ったり、時間をしっかりと自己管理できる子どもであることがわかった。彼らは日々の生活において、忙しさを感じる一方で、自分に対する自信を持ち、やる気にも満ち、心身の疲れもあまり感じていなかった。自分や社会の将来についても、肯定的な展望を持っていることもわかった。

時間の使い方の自己評価が低い子どもは、時間の使い方が下手な子どもであるといえる。そうした子どもは、就寝時刻が遅く睡眠時間が短かった。規則正しい生活を送ったり、計画的に勉強したりすることがどちらかと言えば苦手な子どもであることがわかった。彼らは日々の生活において、忙しさをあまり感じていないのに、疲れを感じやすく、自分への自信ややる気に欠ける傾向にあった。自分や社会の将来についても、明るい展望を持ちにくいこともわかった。

3.子どもの時間意識を育てる

1.子どもの生活時間の過ごし方
2.子どもの時間の使い方の自己評価
3.子どもの時間意識を育てる

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