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最近の教師のメンタルヘルス

東京都教職員互助会三楽病院・教職員総合健康センター 溝口るり子

イラスト 桃井ももこ


<保護者対応>

 保護者対応に苦慮する相談も少なくないが、いわゆる「モンスターペアレント」が多いわけではない。例えば、日中保護者が不在で連絡をとりにくく、「帰宅しても保護者との連絡が済むまで気を抜くことができない」。或いは、夜中の10時11時過ぎに保護者からの電話がかかってくる場合も対応せざるを得ず、睡眠時間を割かれることもある。

 保護者が仕事で昼間不在の家庭が多くなっているが、学校からの連絡を必要とする保護者は逆に増えているのか、教師が保護者に連絡する必要性や機会が以前より増加している印象がある。例えば、転んで擦り傷を作ったり頭を打ったという場合や子供同士のトラブルでも、状態の軽重に関わらず「連絡がなかった」「適切に対応していない」と保護者からのお叱りを受けたという話を聞くことが多い。遊び時間に転んで歯を折った児童の保護者が説明を求めて来校し、担任と学年主任、管理職が揃い、週案簿等の記録を準備して状況説明を行うこともあるという。

 連絡帳や学校公開等でのアンケートの回答に保護者からの一方的な要望や、時には悪意を感じるような内容が書かれることもあり、そのこと自体も、またそれに対する管理職の扱いや対応によっては教師にとって強いストレスとなりうる。

<新規採用教員>

 教師1年目は多忙である。新採研修があり研修にはレポートの提出を伴う。小学校では全教科の授業準備に加え、多くは初めての担任を任される。教科担任制の中・高等学校では若手ということで部活動の指導を期待され、専門外の熱心な運動部を頼まれて朝練や放課後練習に加え、土・日も試合で休めず、「私的な、自由になれる時間が全く取れない、プライベートな時間が欲しい」という新規採用教員からの声を聞く。地方から上京して一人暮らしを始め、不慣れな環境のなかで食事準備も思うに任せず、朝食は抜き、学校から帰る時間には外食する店もなくコンビニのおにぎりで済ませ、自宅では入浴して寝るのみ。学校給食がかろうじて普通の食事だが、児童生徒と一緒の給食は落ち着いては食べられない。

 新規採用教員には大学卒業したての新人のみではなく、期間の長短に関わらず講師経験者や他県の教員・講師経験者、企業からの転職者も含まれ年齢層は幅広い。最近は定年や定年を待たずに早期退職する教員が増え、職員室には新規採用教員や若手教員が増加している。逆に中堅層は少なく、責任ある仕事が集中しがちで多忙であり、若手の相談相手やベテランとのつなぎ役が難しく、ベテランと若手との距離感が大きくなっている様子である。新人には指導教官がつくが、その教師自身も多忙であり指導や相談の時間が十分に取れるとは限らず、忙しい同僚(先輩教員)に質問したくてもどう声をかけたらよいのか戸惑う人が多い。自分が習った先生の影響で教職を志望した、子供が好きで教師を目指してきたという方が多いが、実際の学校現場に入って理想とのギャップに直面して悩み、他職種への方向転換を考える新人の相談も寄せられる。

 

3.異動の負荷〜終わりにかえて

1.はじめに〜学校現場の多忙
2.保護者対応〜新規採用教員
3.異動の負荷〜終わりにかえて

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