ご挨拶日本精神衛生会とはご入会のご案内資料室本会の主な刊行物リンク集行事予定

こころの健康シリーズZ 21世紀のメンタルへルス

No.2 多世代型シェアの試み
−コレクティブハウスとホームシェア−

日本大学文理学部社会学科  久保田裕之


COCO湘南が産み出した共生の基本理念

image

 とはいえ、多世代型という点からみて、規模の面でも年齢幅の面でも最も成功しているのは、「コレクティブハウス」と呼ばれる共住形態である。スウェーデンやデンマークなど北欧にひとつの起源を持つとされるコレクティブハウスは、当初は家族同士の使用人の共有による節約術として、後には女性の社会進出を支える家事の共同的合理化のための民主的で協同的な新しい住まい方の試みとして注目されてきた。数十世帯が居住者共同組合を組織して物件を管理し、各世帯はそれぞれ独立した居住設備の他に、共同のキッチン・リビング・バス・トイレなどの共用設備を持ち、炊事当番や掃除当番など家事の協働を行う。特筆すべきは「コモンミール」と呼ばれる共同の炊事で、月に数度の炊事当番で居住者全員分の料理を準備する代わりに、週に3〜5回は家に帰れば温かいコモンミールが用意されているという仕組みである

 日本でも、1995年ごろからNPO法人コレクティブハウジング社により試みが始められ、現在では都内を中心に5件が運営されている。たとえば、多摩市のコレクティブハウスでは、若い子育て夫婦世帯から、単身高齢者世帯、のみならず、コレクティブハウス内での若者同士のシェア世帯などが混ざり住み、0歳から70歳代までの数十人が、民主的な会議と平等な役割分担に基づく共同的な生活を営んでいる。もっとも、コレクティブハウスはその理念上、共有部分とは別に各世帯に独立した生活設備を備える必要があり、また、家事の協働と合理化のために数十世帯の規模を必要とするため、計画や建設が難しく、なかなか大きくその数を増やすまでには至っていないのが現状である。

4.世代間ホームシェアの試み:高齢者の居宅を利用した若者との共同生活/おわりに

1.はじめに:世代を超えて共に生きる
2.近年の共同生活への眼差し:シェアハウスとグループリビング
3.多世代型コレクティブハウスの試み:合理的で民主的な協同生活の運営
4.世代間ホームシェアの試み:高齢者の居宅を利用した若者との共同生活/おわりに

ご挨拶 | 日本精神衛生会とは | ご入会の案内 | 資料室 | 本会の主な刊行物 | リンク集 | 行事予定