東邦大学医学部 端詰勝敬 4.メンタル事例の予防と対応もっとも重要なのは、不調にならないように予防することである。そのためには、海外派遣前の研修や説明会等を系統だっておこなう必要がある。ストレス、うつ病などの精神疾患、コミュニケーション、ストレスマネージメントなどについて、可能な限り理解を深めておくことが予防につながる。現地に派遣後は、国際協力人材と派遣元組織の事務局側が、定期的なコミュニケーションをいかにとれるかというのが課題である。(例えば定期的にストレスに関する質問紙を配布するのも一つの方法である)。 任国で、精神疾患が疑われる場合の対応は、多くの場合、日本に帰っての療養となる。任国では、言語の問題、医療水準の問題などもあって、メンタル疾患の治療を現地のクリニックでおこなうのはリスクを伴う。 おわりに我が国ほど、組織的かつ大規模・継続的なかたちで開発途上国への国際協力人材の派遣をおこなっている国はないと聞いている。素晴らしい業績の陰にかくれてはいるが、国際協力人材のストレスは大きく、事例にならない不調例も多いであろう。国際協力人材自身の健康なくして良い活動や事業は出来ないわけで、今後は国際協力人材に有効なストレスマネージメントやストレスコーピングなどを検討していきたい。
参考文献 1)国際協力機構年次報告書 2020 https://www.jica.go.jp/about/report/2020/chart02.html はじめに/1.国際協力で海外に行く人の概況 |
|||||||