聖路加国際病院理事長 日野原 重明 2.漢字の「健康」の意義健康の健は、からだが強くしっかりしている意味を持ち、康は心が安らかな状態を示し、この字から健康という漢字が作られていたのです。 健は人偏に「建つ」と書き、人がしっかりした基礎をもつ建物のように、どっしり、揺るがずに立っている状態を示す言葉です。この『健』が、強いという状態、または『力』を意味する言葉になり、腕っ節の強いのを「健棒」と表現し、胃腸が強くてよく食べる人を「健啖家」などと呼んでいるのです。 最近は日本にも50階以上の高層建築の数が増えましたが、建物の基礎が深く、しかも岩盤層の上に立てられていて、地震にも崩壊することがないように設計されていると誰もが考えますが、あのような高層建築は、建物に柔軟性があるように設計され、地盤が地震で動くと、建物はS字状になりながら揺れ、必ずしも最上階の揺れの振幅が大きいとは限らないということです。 人間が健康に立っているということは、病気という侵襲にしなやかに対応して動き、横倒れすることがない状態を示すものといえましょう。
1.老人の心の健康 |
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