国立精神・神経センター国府台病院院長 樋口輝彦 2.「うつ」と「うつ病」は違う 同じ憂うつな気分でも「うつ」と「うつ病」は違います。憂うつな気分自体は、場合によっては「うつ」と「うつ病」で区別できない場合もあります。しかし、「うつ病」の重症のものでは、打ちのめされたような、エネルギーが枯れ果てたような、茫然自失といった表現がされるような気分なのです。また、「うつ」の場合は多少眠れなくなったり、食欲が落ちたりすることはあっても、日常生活や社会生活は可能です。また、「うつ」の気分の時でも人に誘われて遊びに行けば、その間は気分転換もできます。ところが「うつ病」では、そうは行きません。気分がうっとうしいだけではなく、何をするのも億劫になり、何も楽しめなくなります。話をする元気もなくなり、終日横になっているだけという人もいます。食欲もなくなり、睡眠も十分にとれなくなる場合がほとんどです。しかも、これが日の単位ではなく、週単位、月単位で続くのです。このため、「うつ」と違って日常生活、社会生活に支障が出ることになります。 1.誰でも「うつ」になることはある |
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