国立精神・神経センター国府台病院院長 樋口輝彦
老年期のうつ病の症状の基本は若いうつ病と変わるものではありません。ただ、比較的老年期のうつ病に多く見られる症状があり、それが老年期うつ病の症状の特徴を表すことになります。ここでは、特に老年期に多く見られる症状のみを取り上げてみることにしましょう。 まず、不安や焦燥が強い点が特徴です。一見するとうつ病と思えないほど不安が前景に出ることもあります。行動面ではウロウロ、ソワソワして落ちつきません。次に、自分の身体のことを過剰に心配する(これを心気的と呼ぶ)点です。「癌になったのではないか」「死ぬ病気に罹っているのではないか」など繰り返し訴えることです。勿論、いろいろ検査をして異常がないことを説明しても納得されません。さらに、意識のレベルが低下しやすく、時には錯乱状態になったり意識障害に至ることもあります。ですから、逆に言えば、このような症状を見た場合に、老年期のほうの場合にはうつ病の可能性も頭におくべきということになります。
6.うつ病にならないために
1.誰でも「うつ」になることはある 2.「うつ」と「うつ病」は違う 3.「うつ病」の場合には早期治療が大切 4.老年期の「うつ病」は若い人の「うつ病」とどこが違うのか? 5.老年期のうつ病の症状の特徴 6.うつ病にならないために 7.老年期の不安への対処 8.不安に使う薬の話
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